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記事公開日:2026/02/16

最終更新日:

特養で働く看護師の仕事内容|役割・給料・志望動機をご紹介

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介護保険制度に基づく公的な介護施設の一つ、特別養護老人ホーム(以下、特養)。病院やクリニックなど看護の現場で働いている人、あるいは勤務経験がある人、これから看護師として働きたいと思っている人の中には、特養を転職先・就職先として検討している人もいるのではないでしょうか。

要介護度3以上の高齢者が入居対象となる特養では、長期入居者が多いという点が特徴の一つです。看護師は、生活に密着したケアや、安心して過ごせる生活環境の提供など、病院とは異なる視点や役割が求められます。
こうした特養の特徴を踏まえ、本記事では次の3点を中心に紹介します。

<この記事でわかること>

  • 特養で働く看護師の仕事内容と役割

  • 特養看護師の1日の流れや働き方の特徴(夜勤・オンコール)

  • 転職時に役立つ志望動機の考え方と例文


特養で働く看護師の仕事に関心のある人はもちろん、特養での看護師の仕事について知らなかったという人も、看護師としての選択の幅を広げるヒントにしてみてください。

1 特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホーム、略して特養。これは老人福祉法上の名称であり、介護保険法上は介護老人福祉施設と呼ばれます。いずれも同じ施設を指しますが、ここでは「特別養護老人ホーム=特養」と表記します。

●入居する患者の特徴

特養は介護保険が適用される公共型の施設で、原則として要介護度3以上で65歳以上の人が入居対象となります。

家庭での介護が困難になった人や、常時介護を必要とする人などが主に対象となるため、入居者の多くは、認知症や身体機能の低下により、日常生活全般にわたって介助が必要な状態です。
医療行為を中心とした施設ではなく、生活の場として、食事・入浴・排せつ介助のほか、レクリエーションやリハビリなども行われます。

●老健や有料老人ホームとの違い

特養の特徴をより理解するために、似た施設である老健(介護老人保健施設)や有料老人ホームとの違いを確認しておきましょう。

特養と老健(介護老人保健施設)の最大の違いは、看取り対応の有無です。
要介護度3以上を対象とする特養に対し、老健つまり介護老人保健施設では要介護度1以上が主な入居対象となります。老健は主に在宅復帰を目的とした短期入居が多いという特徴に対し、特養の場合、自立が困難な人の生活の場としての役割を担います。そのため、長期的なケアを必要とする人が多く、看取りが必要となるケースも少なくありません。

また、有料老人ホームとの大きな違いについては、運営スタイルが挙げられます。公共型の特養や老健に比べ、有料老人ホームの多くは民間運営である点が大きな違いになります。そのため、入居条件や提供するケアの内容、費用などの設定が幅広く、自立度の高い高齢者が入れる施設もあります。

特養・老健・有料老人ホームの比較

項目 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護付有料老人ホーム
入居者の要介護度 要介護度3~ 要介護度1~ 要支援~要介護
運営 公的施設 公的施設 民間施設
入居目的 長期入居(終身利用) 在宅復帰(リハビリ重視) 長期入居(生活支援中心)
医師の配置 常勤なし(外部医師による訪問診療) 常勤 常勤なし(外部医師による訪問診療)
看取り対応 あり ほぼなし 施設による
夜勤 なし あり 施設による
オンコール あり ほぼなし あり

●人員の配置基準

特養では、入居者の安全と生活の質を守るため、法律で定められた人員の配置基準が設けられています。
看護師は必ず配置されますが、医師は常勤していないため、急変時の初期対応や服薬管理、医療機関との橋渡し役を担う重要なポジションです。以下の配置基準を働く際の負担や役割を知るための判断材料にしてみてください。

特養の人員配置基準

職種 配置基準(入居者数:必要人数)
看護師・准看護師 ~30人:1人以上
31~50人:2人以上
51~130人:3人以上
130人~:50人ごとに+1人
介護職員 入居者3人に対して介護職員1人以上(※1)
生活相談員 入居者が100人ごとに1人以上(例:150人の場合、2人以上)
ケアマネジャー 入居者が100人ごとに1人(例:150人の場合、2人)
栄養士・機能訓練指導員 施設ごとに1人以上


例えば、入居者50人の場合、看護師2人、介護職員約17人、生活相談員1人、ケアマネジャー1人の配置が必要です。
看護師は日々の健康管理や急変時対応を担い、介護職員と連携して入居者の生活を支えます。夜勤は介護職員が担当し、看護師はオンコール対応が一般的です。こうした役割を安定して担うために一定の配置が求められており、その結果として看護師や介護職員のニーズの高さにつながっています。

(※1)ユニット型(※2)では、各ユニットに看護師または介護職員を1人以上配置。夜間は2ユニットごとに1人以上。 (※2)ユニット型は、入居者を約10人のグループに分け、個室と共用スペースで生活する仕組みです。

2 特養で働く看護師の仕事内容・役割

特養は、介護が必要な高齢者が安心して暮らせる「生活の場」としての機能を担っています。そのため、看護師にも、利用者の穏やかな日常を支えるという役割が求められます。
日々の体調管理や緊急時の対応など、看護師としての専門性を発揮しつつ、多職種の人たちと協力して生活に寄り添ったケアを実践することが、特養の看護師にとって重要な責務になるのです。

特別養護老人ホームで働く看護師の主な仕事内容

【健康管理】

特養で働く看護師にとって重要な仕事の一つが、利用者の健康管理です。体温、脈拍、呼吸、血圧、意識レベルといったバイタルサインのチェックを行いながら、日々の健康状態に異変がないかを確認します。
わずかな不調や異常をキャッチするためには、日頃のコミュニケーションが重要に。異変を察知した場合には、迅速に医師に報告し、指示を仰ぎます。

【医療的ケア】

医師の指示のもと、インスリン注射や胃ろう管理、点滴、経管栄養などの医療的ケアを行います。日々の健康管理の中で異変を察知した際には、医師に相談の上で症状悪化の防止や、症状緩和のための適切な処置を行うことも看護師の大切な仕事に。
褥瘡(床ずれ)の予防と処置、感染予防対策、服薬管理、喀痰吸引、創傷処置なども日常の重要な業務です。

【看取り・ターミナルケア】

特養は、重度の要介護状態になっても住み続けられる「終の棲家」としての役割を担っているケースが多いため、前述したように、看取りをすることも少なくありません。看取り期には、入居者がその人らしく過ごせるようにスタッフと連携して、心の通ったケアをすることが大切です。
また、急変時に経管栄養や心肺蘇生を行うかなど、いざというときにどの程度の医療処置を希望するかという意向を、入居時などに本人や家族と話し合い、看護師が情報を整理して医師やチームに共有することも必要になります。

【介護スタッフとの連携】

特養では主に、医師、介護職、看護師が連携して利用者のケアにあたります。中でも看護師は、医療と介護をつなぐ中核となる役割を担っており、利用者の状態を介護スタッフと情報共有することで異変の早期発見につなげます。状況が悪化しないように医師と相談をして指示を仰ぐなど、きめ細かなコミュニケーションも重要です。
また喀痰吸引や経管栄養などについて、看護師から介護スタッフへ指導をすることもあります。

【オンコール対応】

特養では、看護師に対して24時間配置の義務は課せられていないため、看護師の夜勤はない場合が多いです。しかし、緊急時に備えてオンコール体制を取っている施設が大半のため、緊急時の対応が必要です。
例えば夜間に、利用者の体調変化やケガがあったときなどは、現場の介護職員から連絡が入ることも。必要に応じて現場へ向かい、医師に代わって判断と処置を求められることもあります。

3 特養で働く看護師の1日の流れ

特養で働く看護師は、多くの場合、日勤が中心になります。ここでは、特養で働く看護師の代表的な1日の流れを例として紹介します。

1日のタイムスケジュール
8:30~ 出勤・夜勤介護スタッフからの申し送り、引き継ぎ
夜勤介護スタッフからの連絡事項、引き継ぎや申し送り事項の確認をします。また日勤スタッフが集まり、利用者の状態や注意事項の確認を行います。
9:00~ 健康状態の確認、医療ケア
体温や血圧などのバイタル測定を行い、必要に応じて褥瘡ケアや医療処置を実施します。
11:00~ 服薬準備
11:30~ 昼食準備
12:00~ 昼食の食事介助、服薬管理、口腔ケア
介護スタッフらとともに昼食の食事介助を行います。服薬の管理や口腔ケアも実施。
12:30~ 交代で昼食、休憩
13:30~ 見回り、レクリエーションの補助など
15:00~ 記録業務、カンファレンスへの参加など
16:00~ 夕食準備
17:00~ 夕食の食事介助
17:30~ 記録業務・夜勤介護スタッフへの引き継ぎ
看護記録の記入、夜勤介護スタッフへの申し送り事項のまとめなどを行います。
18:00~ 退勤

4 特養で働く看護師の給料

特養で働く看護師の給料は、勤務先の施設の規模や地域、自身の経験年数などによって差があります。
一般的に、特養での給与は看護師全体の平均収入と比べると、やや低めになる傾向があります。これは、特養では大半の場合、看護師の夜勤がないためです。

一例として、日本看護協会の2024年度「看護職員の賃金に関する実態調査」によると、正規雇用・フルタイムで働く看護師について、病院勤務者の月収入が平均基本給月額26万451円、平均税込給与総額38万2,093円。
これに対し、特養を含む介護系サービスでは、平均基本給月額が26万4,418円と同水準であるものの、平均税込給与総額35万1,599円と、総額では低水準になっています。これは夜勤手当が付かないことが一因と考えられます。

ただし、転職や就職を検討する際は、額面としての収入だけではなく、夜勤の有無と自分自身のライフスタイルが合致しているか、勤務形態や条件と希望する働き方の親和性など、さまざまな条件や環境を照らし合わせて総合的に検討することが大切です。

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5 特養で働く看護師のやりがい・魅力

特養は要介護度が高い入居者のケアにあたることから、負担の大きい業務が多く、命の最期の場面と向き合う機会も少なくありません。一方で、病院勤務とは違ったやりがいを感じることもできるでしょう。
ここでは、特養で働く看護師のやりがいや魅力についてまとめます。

●長期的に利用者のケアができる

入居が長期にわたる人が多い特養では、利用者一人ひとりとじっくり向き合い、生活に寄り添いながらケアにあたることができます。長期的に利用者と関わりながら、信頼関係を築き、個別性を高めるケアを実践できる点に、やりがいを感じる場面が多いはずです。

●ターミナルケアに携われる

特養では、入居者が最期を穏やかに迎えられるよう支えるターミナルケアに関わる機会があります。
医療処置が優先される病院とは異なり、生活に寄り添い、本人や家族が望む過ごし方をかなえることができるのは特養の特徴。最期まで寄り添い、「その人らしい時間を守れた」と感じられた瞬間は、看護師にとって大きなやりがいとなるでしょう。

●アセスメント能力を磨ける

特養では、要介護度が高く意思表示が難しい入居者も多いため、わずかな表情やしぐさから体調や気持ちを読み取る力が欠かせません。こうした変化を総合的に判断し、ケアに生かすアセスメント能力は、現場で身につくスキルです。アセスメント能力を磨けることは、看護師が専門性を高める上で大きな魅力といえます。

●ワークライフバランスが保ちやすい

特養では、基本的に日勤が中心で、急性期病棟のような急な入退院対応なども発生しにくく、残業も比較的少ない傾向があります。例えば、夜勤で体調を崩しがちな看護師や、出産・育児を経て復職を希望している看護師などにとって、自分自身の体調や家族の生活リズムに合わせた働き方が実現しやすい職場は魅力の一つと考えられるでしょう。

ただし、多くの施設では夜間のオンコール体制が導入されており、看護師が自宅で待機し、緊急時には電話対応や必要に応じて出勤する場合があります。オンコール対応の有無や頻度、手当の支給条件などは施設によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

6 特養の看護師に向いている人

特養での仕事は、どんな人に向いているのでしょうか。特養の現場で生きる特性を含めて解説します。

●一人ひとりに向き合うケアを実践したい人

長期的に入居者と関わりながら、一人ひとりの「その人らしい生活」を支えるのが特養看護師の大きな役割になります。そのため、人とじっくり関わることが好きな人、その人らしさを支えることに喜びを感じられる人、看護師として生活に寄り添ったケアをめざしている人は高いモチベーションで仕事と向き合えるはずです。

●コミュニケーション力に自信がある人

特養では、入居者の小さな変化に気づける注意深さや、チームで協力する柔軟性が求められます。そのため、コミュニケーションを取ることが得意、高齢者と話すのが好き、チームケアや多職種連携に興味があるという人は、丁寧なコミュニケーションを苦に感じることなく、楽しみながら働けると考えられます。

●ワークライフバランスを重視したい人

特養の看護師は、基本的に夜勤がなく、日中の勤務が中心です。不規則な勤務が少ないため、ワークライフバランスを保ちやすい働き方ができます。そのため「夜勤のある病棟勤務は身体的につらい」、「家族との時間を大切にしたい」、「長く働き続けたい」と考える人にとって、有力な選択肢になります。

 7 特養への転職に役立つ志望動機例

施設側は、入居者との信頼関係やケアの継続性を重視しているため、できるだけ長く働いてほしいという思いで採用活動を行うはずです。そのため、特養への転職を希望する場合、採用担当者に熱意や意欲を伝え、さらに施設にとってどのようなメリットをもたらせるかを具体的にアピールする必要があります。

採用したら即戦力になる、現場のスタッフや利用者と良好な関係を築くことができるなど、施設にとって不可欠な存在となって長く働いてほしいと思わせる志望動機を考えて選考につなげましょう。

以下に、履歴書作成に役立つ志望動機の例文を挙げています。これまでの経歴や思いに置き換えて、熱意や意欲が伝わる自分らしい志望動機を作るための参考にしてください。

●病院から転職する場合

〈志望動機例〉

前職では7年間、急性期病院で勤務していました。最新の医療技術や知識に触れる機会が多く、看護師としてやりがいを感じていました。しかし、退院後の患者さまのことが気がかりで頭から離れず、わずかな期間しかケアにあたれないことにジレンマを感じるようになりました。
そこで、偶然目にした貴施設のホームページから、利用者さまの人生の最期まで寄り添い、健康管理はもちろんのこと、心穏やかな日常を支えるというポリシーに感銘を受け、入職を希望いたしました。
これまでの経験で培った緊急時の対応力やアセスメント能力を生かしながら、利用者さま一人ひとりの生活に寄り添ったケアをめざしたいと考えています。

●ブランクがある場合

〈志望動機例〉

前職で10年にわたり、内科・整形外科の外来で勤務しておりましたが、親の介護のため退職いたしました。
親の介護に携わる中で、生活を支える重要性や周囲の協力の大切さを実感し、看護師として多職種の方と連携しながら、一人ひとりの患者さまの生活により深く関わりたいと考えるようになりました。
貴施設では、利用者さまが安心できる生活の場としての役割を大切にされているということを伺いました。私がこれまで積み重ねてきた臨床経験、そして、身内の介護を通して学んだご本人やご家族の気持ちに寄り添う姿勢を生かし、充実した日々を送っていただけるよう貢献したいと考えております。
ブランク期間がありますが、看護知識・技術を改めて確認し、入職後は職場の皆さんと協力しながら即戦力としてお役に立てるよう努めてまいります。

●キャリアを生かす場合

〈志望動機例〉

これまで循環器科や小児科病棟、内科の外来、クリニックなどさまざまな職場で経験を重ねてきました。その中で、看護師としての現場経験はもちろんのこと、チームリーダーとして後輩の指導、新人の研修、業務の効率化といった多岐にわたる役割を担ってまいりました。
キャリアを重ねる中で最も強く感じたことは、チーム医療の重要性です。貴施設では、利用者さまの尊厳を守るということに重きを置いてケアに従事されていると伺いました。その理念に共感し、看護師の一人としてチームに加わりたいという思いを抱いたことから、応募いたしました。
貴施設の理念の実現をめざし、これまでのマネジメント経験を生かしながら、チーム力を引き出すために尽力することが、今後の看護師としての私の使命だと感じています。個々のスタッフが能力を最大限に発揮できる環境づくりを実現し、ひいては利用者さまのより質の高い生活につなげていきたいと考えています。

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8 特養で働く看護師の仕事の見つけ方

今回は特養で働く看護師の仕事内容ややりがい、志望動機例などについて紹介しました。
介護を必要とする高齢者が増える中で、一人ひとりが“その人らしい生活”を送り、穏やかで豊かな日常を過ごせるために支え続ける特養の看護師の仕事は、とても意義深く、やりがいを感じられる場面が多くあります。
入居者やその家族との信頼関係を築きながら、安心・安全な時間を守る看護師にとって、「ありがとう」という言葉をかけられる瞬間は、モチベーションを高め、充実感を得られる機会となるはずです。

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こちらの記事の執筆者
花野 静恵

ライター

大学卒業後、編集制作会社でレジャー情報に関する雑誌編集、ウェブサイトの立ち上げに携わる。紙媒体の企画から執筆まで一貫して携われるステージを求めて北陸・金沢の出版社へ。30歳を機にUターンし、名古屋の編集プロダクションへ。2011年からフリーランスのライター、エディター、ディレクターとして医療や介護、レジャー、教育、スポーツなど多分野の情報発信を手がける。

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