緒方 維教 院長の独自取材記事
緒方歯科医院
(大阪市阿倍野区/天王寺駅)
最終更新日:2026/09/09
大阪市阿倍野区旭町、各線天王寺駅近くのビル2階にある「緒方歯科医院」は、緒方維教(これのり)院長の父、緒方惟幸先生が開業して50年以上になる歯科医院。緒方院長は、出身の大阪大学大学院では歯科保存を専門とし、同大学歯学部付属病院では幅広い診療分野に携わった後、根管治療を得意とする歯科での勤務を経て、2009年に同院を継承。今も惟幸先生とともに診療を行いながら、若い歯科医師への指導も続けている熱心な先生だ。プライベートではロードバイクで100kmを超える長距離大会にも挑んでいるというアクティブな緒方院長に、歯科診療への思い、これからの展望について、たっぷりと話してもらった。
(取材日2019年9月11日)
開業50年以上の歯科医院を父から継承
院長のお父さまが開業して50年以上になります。小さい頃から歯科医師をめざしていましたか。

父が開業したのが1966年、僕が継承したのが10年ほど前になります。僕自身は小さい頃から自動車そのものや、プラモデル製作など手を動かすこと、物作りが好きで自動車の整備士に憧れていました。一方で、父の話を聞いていて、歯科医師という職業も面白そうだなと、ずっと感じていたんです。親からは、歯科医師になれ、と言われたことはありません。ただ、祖父母からは、「歯科医師になってほしいと思っているはずだよ」と何度も言われてきましたね(笑)。
歯科医師への道を進むと決めたきっかけはありましたか。
僕が中学2年の時、現在のこのビルのテナント契約に関して、父が当院を将来的にどうするか悩んでいた際、突然僕に、後を継ぐ意思があるかどうか質問してきたんです。それまで一度も将来や進路の話をされたことがなく、突然聞かれたものですから、「後を継いでもいいよ」と、本当に軽く返事をしたところ、テナント契約話がどんどん進みましてね。これは本気で歯科医師にならないといけないんだと思いました(笑)。
大学院では、どういうことを専門に研究していたんですか。

在学当時、再生医療が注目され始めたんですね。歯科保存学の分野でも、細菌を調べることが中心だった時代ですが、大学自体も再生医療の研究に力を入れるようになったんです。僕は主に、人工骨補填剤の研究をしていました。工学部と連携して材料を製作してもらい、歯学部で実験をし、その結果をフィードバックし、工学部で改良してもらって、の繰り返しでした。他の学部と連携するのはとても面白かったです。
悪いところだけではなく、口全体を視野に入れた治療を
どのような患者さんが多いですか? 患者さんと接する際に気をつけていることも教えてください。

当院があるのは天王寺の中心部のため、ビジネス街という印象を持たれがちなのですが、1本道を入ると住宅街なので、来院の半数以上が近隣住民の方です。もちろんお勤めの方もたくさん来られていて、特に、当院の入るビルの隣の企業に勤務されている方々が多く通われていますね。気をつけていることとしては、できる限り、患者さんに話していただけるよう、お話を引き出せるように努めています。患者さんの希望や、最近の歯の状態など話してくださるようにと。皆さんきっと基本的に歯科医院は行きたくない場所ですよね。緊張されている方も少なくないんです。なので、最初は歯とは関係ない話など、ざっくばらんに会話をして、リラックスしていただいてから治療に入るようにしています。
先生は、患者さんにきっちり治療することを勧められるそうですね。
きちんと、お口の中全体を良い状態にしていけるような、お口全体の健康を保っていけるような治療を行うことを心がけています。痛みなど症状が強い場合などの応急処置はもちろん行いますが、とりあえず早く、悪いところだけ治療してほしいという方には、きっぱりと「当院は向いていないかもしれません」とお伝えすることもあります。患者さんが求める治療と、当院が考えていることの間にギャップがあると、どちらにとっても不幸な結果につながりかねないと考えています。ご多忙など事情があることはわかっていますが、1回の診療時間や、治療を終えるまでの期間に限りがある方などには、当院の診療方針を最初にお話ししています。
お父さまの惟幸先生と一緒に勤務してみて、歯科医師として感じたことはありますか。

幼少時から、歯科医師として働く父の姿を見ていましたが、一緒に働くようになって、別の視点で父を尊敬するようになりました。僕は大学で先進的とされる分野を研究していたので、継承前は父の治療内容をなぜこんな方法をとるのか、このやり方は古い、と感じたこともあります。ただ、その後、患者さんの診療を引き継いでみると、父が選んだ方法の意味や必要性がわかり、先々を見据えた治療だったのだと実感したこともあります。
歯科医師は人間性が出る仕事だと考える
研修医の先生への指導も続けられているそうですね。

父と僕を合わせると5人の歯科医師が在籍し、まだ若い先生には指導も行っています。歯科医師の研修は通常、出身の医局の後輩を受け入れることが多いのですが、当院では別の医局の後輩も指導しています。以前、患者さんのお子さんが歯科医師になり、僕に指導を依頼されたんです。医局が違う先生でしたが、これがご縁で今もその医局の後輩が続けて入ってきてくれています。歯科医師になりたての頃は、苦手な分野も多く、自信をなくす先生もいます。でも、みんな技術は大学で厳しく訓練を受けているはずです。ほんの少しのきっかけで、ぐんと伸び、成長していくんです。僕自身、昔は苦手に感じていた根管治療が今では得意といえるようになりました。克服への後押しをしてあげたいんです。
お忙しい日々だと思いますが、お休みはどのように過ごされていますか。
ひたすら自転車に乗っています(笑)。ロードバイクというもので、サーキットなどで大会に出場しています。1時間や2時間と長時間かつ長距離のレースが多く、ごくたまにですが、大会のために診療をお休みさせていただくこともあります。患者さんにも「160km走るんです」とお伝えすると「それは仕方ない」とご納得いただけることも(笑)。あまり患者さんに自転車の話をしたことがないのですが、これを読んで興味を持っていただけたら、気軽に話しかけてもらえるとうれしいですね。
これから先には、どのような展望をお持ちですか。

これまでは、父をパートナーとして診療を続けてきました。父は今も週に数回診療を続けていますが、これから先、引退する時のことを考えていかないといけません。今後、パートナーシップを築ける先生を探して、協力していきたいと思っています。経験の浅い先生への研修や指導を続けることで、僕の考える歯科診療に賛同し、共感してくれる先生が見つかれば、という思いもあります。
院長の、歯科診療への思いを教えてください。
この仕事は人間性が表れると思います。お口の中、歯というのは、外からは見えにくい場所です。楽をしようと思えばできてしまう部分でもあるんですよね。そこに、どこまでこだわることができるか、一生懸命治療に取り組めるかなんです。以前勤務していた歯科は根管治療に力を入れていたんですね。そこの患者さんは、10年後、20年後に来院されても、状態を保っている方が多かった。根管治療において、これはすごいことだと思います。それだけ徹底して治療を行う意思を持っていた先生方がそろっていたということの表れでしょう。当院もその意思を持って診療を行えるよう、研鑽を続けていきたいですね。

