坂田 勝則 院長の独自取材記事
ゆうゆうクリニック
(大阪市阿倍野区/阿倍野駅)
最終更新日:2026/09/03
大阪府中心部と南大阪、奈良県、和歌山県を結ぶ阿倍野エリアに2015年開院した「ゆうゆうクリニック」は、大阪メトロ谷町線・阿倍野駅から徒歩5分。坂田勝則院長が心療内科、妻の坂田理香先生が小児科を担当し、女性や子どもから周辺で働くビジネスパーソンまで、一人ひとりの精神的な悩みに丁寧に寄り添っている。また、通院が困難な認知症の高齢者や引きこもりの若年層を対象に、在宅医療にも尽力。「精神の病気は、本人もさることながらご家族も大変な思いをされています」と語る坂田院長は、患者のみならず、その家族に対するサポートにも日々心を砕いている。医師をめざした頃に抱いた「人と深く関わり、人の役に立ちたい」という思いを持ち続け、多忙な中でも患者の話に真摯に耳を傾ける坂田院長に、同院の特徴やモットーなどを聞いた。
(取材日2026年8月4日)
時間をかけて患者と向き合う、小児科併設の心療内科
ハートが2つ並んだマークと、クリニック名の「ゆうゆう」という響きが印象的ですね。

2つのハートは、人と人とが寄り添う、親と子が寄り添う、医者と患者が寄り添う、そのような「人と人との関わり方」をモチーフとしています。2015年4月の開業時に自分でいろいろと模索してできあがりました。当院は僕の心療内科と、妻の小児科とがあるので、2つの診療科という意味も兼ねて、小児科はピンク、心療内科は水色と、色で両方を表すことを思いついたのです。クリニック名については、せかせかした雰囲気ではなく、ゆとりを持ってゆったりと患者さんに向き合いたいという思いから、「優雅」の「優」と「余裕」の「裕」をつなげて「ゆうゆう」にしようと。「ゆう」と読む漢字は優しい、温かい字が多いですよね。そういった言葉の響きや字のイメージから「ゆうゆうクリニック」と名づけました。
小児科を併設されていることの利点は、どのようなところにありますか?
妻の専門が小児科なので、自然な流れで一緒に診療しています。小児科はにぎやかになることもありますから、重い気持ちを抱えて受診される心療内科の患者さんにできるだけ配慮しつつ、診察室はもちろん別々で、診察時間もずらして診療しています。小児科を併設していることのメリットは、心療内科というと少し受診のハードルが高く感じる子どもの患者さんにとっても、受診しやすい点ですね。調子が悪くて小児科にいらしたけれど身体的な問題ではなさそうなお子さんを、2つの診療科で連携して診られるのがこのクリニックの良いところです。
先生の理想や、モットーとされていることを教えてください。

時間をかけて患者さんの話を聞くことです。「3分の診療で薬を出して終わり」は、僕にはできません。患者さんとのたわいのない話の中にこそ、病気のヒントが隠れているものです。最初なかなか自分のことを言えない人も、話していくうちに病気に関係することがポロっと出てくることがあるのですよ。ですから、カウンセリングに時間をかけることは絶対に譲れないのです。病気はタイミング良くやってくるものではありませんから、つらくなった時に診てもらえるクリニックが僕の理想です。でも、予約してスムーズに受診したい方もいらっしゃる。一人ひとりに時間をかけることと、待ち時間のバランスを取ることが難しいところではありますが、どの患者さんにもしっかりと寄り添っていきたいという思いに変わりはありません。
患者と深く関わり、その人の役に立てる心療内科医に
先生が医師になろうと思ったきっかけは何ですか?

小学生の頃から、体の仕組みや構造に興味がありました。人体の図鑑やお医者さんの漫画などは好きでよく読んでいましたね。ただ、医師家系の生まれではありませんでしたし、自分自身も親もまさか医師になるとは思っていませんでした。高校生になってからも、まだ将来のことを真剣には考えていなかったのですが、3年生になっていよいよ大学受験が現実になった時、自分の進みたいのは医学部だなと気づいて。親はびっくりしていましたよ。「お前にできるわけない」って。でも、自分の将来だし、決心は揺るぎませんでした。大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)に合格して埼玉から大阪に来ました。親も喜んでくれて、ほっとしました。
心療内科・精神科を専門に決めたのは、どのような理由ですか?
精神疾患は、内科や皮膚科の疾患とは異なり、目に見えてわかるような症状がありません。医学部で勉強していく中でも、一番奥が深くてよくわからないのが精神疾患でした。当時は身近に精神の病気を抱えている知り合いもいませんでした。思い起こせば「あの人は病気だったのではないかな」と感じるようなことはあるのですが、その時はよくわかりませんでした。そうした病気に対して「何なんだろう?」「もっと知りたい」という疑問や興味が強くなっていきました。もともと、人と直接関わって人の役に立つ仕事がしたいと思っていたので、時間をかけてじっくり患者さんと向き合う心療内科は、自分のめざす方向に合っていました。
やりがいを感じるのは、どのようなところですか?

心療内科の診察は、医師が患者さんと直接話す時間が他の領域に比べて明らかに長いのです。それは先ほど申し上げたとおり「人と深く関わりたい」と思って医師をめざした最初の目標に合致していました。他の診療科では、別の担当者が検査をして、医師は結果を見て説明して終わることも多いでしょう。それぞれの分野にやりがいや難しさはあると思いますが、患者さんと直接関わるという面ではやはり心療内科が一番だと感じます。患者さんから「先生に言われたあの一言を大切にしています」といったお声をいただけた時は、それは本当にうれしいですね。涙が出るほど胸にしみ入ることもあります。
在宅医療から仕事上の相談まで、多様な悩みと向き合う
在宅医療にも力を入れられているそうですね。

はい。認知症の高齢者や、引きこもりの若い患者さんのご自宅へ定期的に伺う訪問診療も、開院後の早い時期から継続して行っています。お話を聞いたりお薬を処方したりする以外に、必要に応じて訪問看護や訪問リハビリテーションにつなぐことも在宅医療における大切な役割です。引きこもりの人は外部とのつながりがほとんどないので、いろいろな人と関わりが持てるようにすることは、患者さんにプラスに働くのです。精神の病気では、もちろん本人もつらいのですが、感情がコントロールできなくなったり暴れたりして、周りの人が疲弊してしまうことも多いのです。また、高齢で認知症を患う方は、目が見えづらくなってきていたり、足が悪くなったりと、ご家族の医療機関への同行が難しい場合もあります。ご家族のサポートという意味でも自分がお役に立てればと思い、力を入れています。
働き盛りの世代のメンタルヘルスの相談も受けつけられているそうですね。
働く方が精神的にも健康に過ごせるよう、メンタルヘルスに関する相談にも乗っています。お話を伺っていると、「職場のピリピリした雰囲気がつらいのだろうな」「結局は働く上でも人間関係が肝心なのだろうな」と、過重労働や人間関係といったいろいろな問題が見えてきます。精神疾患とまではいかなくても、今抱えている仕事上の悩みやストレスを伺うことは、自分にとって大きな勉強になりますね。理解を深めるために、ビジネスパーソン向けのメンタルヘルスについての勉強会にも参加しました。患者さんとの話だけではなかなか聞くことのできない、環境改善に向けての企業努力や実際の様子についても知ることができ、より視野が広がる貴重な機会になりましたね。
最後に、今後の展望を教えてください。

いつになるかはわかりませんが、将来的には精神科のデイケアもできたらいいなと思っています。特に若い世代でなかなか外との関わりが持てない人を集めて、一緒に作業したりレクリエーションをしたりする場をつくりたいなと案を練っています。高齢者向けのデイケアと比べても、精神科のデイケアはまだまだ少ない状況です。引きこもりになっている若い人たちの、社会復帰に向けた取り組みをサポートしていけたら冥利に尽きますね。

