中村 俊規 院長の独自取材記事
表参道こころのクリニック
(渋谷区/明治神宮前〈原宿〉駅)
最終更新日:2026/09/15
「表参道こころのクリニック」は、東京メトロ副都心線・明治神宮前〈原宿〉駅から徒歩5分の場所に2008年に開院した心療内科・精神科クリニック。院長の中村俊規先生は、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)で教授を務め、脳に関する研究・診療に携わってきた経歴を持つ。クリニックでは、不眠や気分の落ち込み、不安感といった心の不調から、自閉症スぺクトラム(ASD)や注意欠如多動症状(ADHD)などの発達症、高次脳機能障害まで幅広く対応。心理士や看護師、管理栄養士ら多職種が連携し、一人ひとりの状況に合わせたチーム医療を実践するとともに、グループ療法や復職支援にも力を注ぎ、社会復帰まで見据えた支援を行っている。今回は中村院長に、クリニックの特色や診療への思いなどについて聞いた。
(取材日2026年7月13日)
症状の改善だけでなく、その先まで見据えた医療を
まずは、クリニックの概要を教えてください。

当院は2008年に開院した心療内科・精神科クリニックです。気分の落ち込みや意欲の低下、眠れない、朝起きられない、ストレスや脳機能の変調などによって生じる心と体の不調に幅広く対応しています。私は筑波大学医学部・同大学博士課程(医学博士)を卒業後、大学病院の精神科で診療経験を積み、2003年から5年間、東京医科歯科大学で教授を務め、脳に関する専門的な研究を行っていました。その後、当院を開院し、今年で18年になります。明治神宮前〈原宿〉駅のほか表参道駅や原宿駅、渋谷駅からも徒歩圏内とアクセスの良い立地ですので、治療に専念できる方のみならず、お仕事をお持ちの方も便利な立地だと思います。
どのような患者さんが多く来院されているのでしょうか。
職場や日常生活の中でのストレスによるうつ病や、不眠症、不安障害などの患者さんが多く来院されています。また、私が専門とする高次脳機能障害の患者さんも多いですね。高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中などによる脳の損傷が原因で、記憶力や集中力の低下、言葉が出にくいといった症状が現れる障害です。外見からはわかりにくいため周囲の理解を得られず、二次的にうつ病を発症する方も少なくありません。当院ではお一人お一人の困り事を丁寧に伺い、MRIによる脳画像診断をはじめ、診断による投薬を組み合わせながら、日常生活の質の向上をめざした支援を行っています。近年は、子どもの不登校やうつ病、ASDやADHDなどの発達症にに関する相談も増えており、幅広い年代の患者さんに対応しています。
診療面の特徴を教えてください。

特徴の一つは、多職種によるチーム医療を実践していることです。医師だけでなく、心理士による心理検査や看護師による面談、管理栄養士による栄養指導など、それぞれの専門性を生かしながら患者さんを支えています。心の病気は生活習慣とも深く関係しており、食生活の乱れが心身の不調につながることもあれば、メンタルの不調によって食事がおろそかになることもあります。そのため、管理栄養士が栄養バランスや食事のタイミングなどをアドバイスし、生活面の改善をサポートしていきます。また、医師には話しづらいことを心理士に相談したり、診察で聞きそびれたことを受付スタッフに確認したりしていただくこともできます。さまざまな職種が関わることで、患者さんが安心して相談できる環境につながっていると感じています。
グループ療法に注力。仲間との交流で回復の後押しを
グループ療法にも力を入れておられるそうですね。

はい。グループ療法は、同じ悩みや課題を抱える患者さん同士が交流しながら回復をめざす方法です。同じ悩みを持つ方同士だからこそ、「自分だけではなかった」「こんな考え方もあるんだ」といった新たな気づきが生まれます。また、外出する機会が少なくなっている方にとっては、安心して通える居場所にもなると思います。まずは、うつ病などにより会社を休職された方、または転職を希望される方向けに、認知行動療法などを組み合わせたプログラムを用い、復職、転職への支援を行います。また希望の方には履歴書の添削や個別相談も行っています。高次脳機能障害の方のプログラムでは、記憶力、注意力、感情のコントロールなどを認知トレーニングにて改善をめざしていきます。
グループ療法にはどのようなプログラムがあるのですか。
フラワーグループ、アロマグループ、製作グループなどの物作り系から、音楽や栄養管理などを活用したプログラムがあります。フラワーグループでは、主に生花によるフラワーアレンジメントを作ります。作品作りを通じた「自分にもできた」という達成感により自己肯定感を向上させることを図り、自分の居場所づくりにもつなげていきます。アロマグループでは、ハンドソープ、洗濯洗剤、ヘアスプレーなど日常生活で使うものを身体や環境に優しい素材で作ったり、化粧水や美容液などを天然素材で作ったりします。
音楽や栄養管理を活用したプログラムについても教えてください。

音楽を用いたプログラムでは、みんなで歌ったり、楽曲に合わせて手拍子やカスタネットをたたくなどの「ダブルタスク」を実践しています。ダブルタスクとは、2つ以上の動作を行うことで、脳の活性化や認知症予防のトレーニングとして今注目されています。自己肯定感の向上や脳の活性化などにつながるプログラムを、ぜひ体験してみてください。栄養管理プログラムでは、管理栄養士が皆さんの食事指導のお手伝いをします。食事と身体とメンタルヘルスは、とてもつながっています。
多職種が連携し、チームで患者を支える
診療の際に心がけていることを教えてください。

まずは患者さんご本人の困り事にしっかり耳を傾けることです。ご家族からのご相談にもご希望によっては対応しています。また、必要に応じて心理検査なども行い、患者さんのお話や検査結果を総合的に評価しながら、お一人お一人の状況に応じた治療や支援につなげていきます。また、大学で培った経験を生かし、当院でも専門性の高い診療を心がけています。診断においては、必要に応じてMRI検査による脳画像や各種心理検査も活用し、総合的に評価した上で治療方針を検討していきます。以前は心の病気といわれていたうつ病なども、脳の不調が原因です。高次脳機能障害では、連携医療機関での頭部MRI検査をお願いすることもあります。脳画像を確認することで、認知症や脳腫瘍、脳血管障害など、心の不調の背景に別の病気が隠れていることがわかる場合もあります。お一人お一人の状態を多角的に評価し、適切な治療や支援につなげることを大切にしています。
その他、力を入れている領域はありますか。
うつ病などのメンタル不調で休職されている方の復職支援にも力を入れています。治療を終えたからと復職して、再びメンタルヘルスを崩してしまうケースは少なくありません。大切なのは、「なぜメンタルヘルスを崩したのか」という背景をご本人が理解し、再発を防ぐための方法を身につけることです。例えば、「仕事を断れない」「人に頼れない」「完璧を求めすぎてしまう」といった考え方の傾向に気づくことも、その一つです。当院では、心理士による社会復帰支援グループにて、患者さんと一緒に休職に至った経緯を振り返りながら、認知行動療法も取り入れ、ご自身のストレスサインや対処法を身につけた上で復職できるよう支援しています。また、民間の就労支援会社の利用もしながらグループに参加することも可能です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
心療内科を受診することに抵抗を感じる方は、まだ少なくありません。「こんなことで相談していいのだろうか」と迷われる方もいらっしゃいますが、不眠や気分の落ち込み、仕事や学校へ行きたくない、お子さんの様子が気になるなど、小さなサインでも構いません。一人で抱え込まず、早めに相談していただくことで、体調が悪化することを防ぐことが望めます。お子さんが受診を嫌がる場合は、まず保護者の方だけでご相談いただくことも可能ですし、心身の不調が強く、医療機関を受診すること自体が難しい場合には、オンライン診療も行っています。また、初診の方に対して看護師による事前カウンセリングも実施していますので、不安なことがあればお気軽にご利用ください。

