赤尾 見春 院長の独自取材記事
新城・新作こどもクリニック
(川崎市高津区/武蔵新城駅)
最終更新日:2026/07/13
JR南武線・武蔵新城駅南口から徒歩12分ほどの住宅街にある「新城・新作こどもクリニック」。ビル2階に広がる院内は、L字型の廊下に配された大きな窓からやわらかな日差しが差し込む、明るくゆとりある空間だ。ベビーカーでも移動しやすい動線、自動ドアやスライドドア、中央に設けた大型トイレなど、子連れ受診の負担を和らげる工夫も随所に見られる。「病気かどうか判断しにくいことでも、困ったことがあれば早めに相談してもらえればと思っています」と話すのは、2022年春から同院の院長を務める赤尾見春院長。風邪などの一般診療や予防接種の対応に加え、育児相談も引き受ける、保護者の不安に寄り添う診療について聞いた。
(取材日2026年5月28日)
医師であり子育て中の母親の立場から必要な情報を発信
どのような相談が多いですか。

最も多いのは風邪などの症状で受診されるケースですが、小さなお子さんの場合は、肌トラブルなどでの受診をきっかけに、離乳食や夜泣き、授乳、体温や衣服の調節といった育児の悩みを相談されることも少なくありません。保護者の方は「こんなことで受診していいのかな」と迷われることもあるようですが、気がかりなことがあれば早めにお話しいただければと思っています。例えば吐き戻しが続く場合、成長や哺乳の様子などを確認し、詳しい検査が必要だと判断すれば大学病院へ紹介することもあります。最近は、かかりつけのお子さんにきょうだいが生まれ、下のお子さんのワクチン接種を希望して来院され、それを機に通い始めるケースも増えています。ご家族の状況を知った上で、お子さんたちの成長を継続して見守れるのは、小児科医としてうれしいことですね。
クリニックの診療や運営で、工夫していることはありますか。
保護者の方が話しやすく、「また来たい」と思える雰囲気づくりを大切にしています。小さな不安でも早めに相談していただけるよう、医師やスタッフが声をかけやすい空気をつくることを心がけています。スタッフにも子育て経験者が多く、赤ちゃんや小さなお子さんを自然に見守りながら、経験を踏まえた声かけや助言をすることもありますね。最近は父親がお子さんを連れて来られることも珍しくなく、ご家庭ごとにさまざまな形で受診されています。誰が付き添っても相談しやすいよう、症状や経過を丁寧に確認しながら、ご家庭の状況に合わせた診療を心がけています。また、午後の時間帯に乳幼児健診の枠を増やし、より受診しやすい環境を整備しました。
ご自身も子育ての最中にあるのですね。

はい。私はこれまで小児循環器を専門に、当直やアルバイトのかけ持ちなどもするハードな勤務を続けてきました。少し遅めではありましたが出産を経験し、できるだけ子どもとの関わりを犠牲にしないよう子育てと仕事の両立を模索する中、2022年に院長に就任しました。もともと子ども好きではありましたが、自分の子どもを見ていると、その発達・成長の素晴らしさに日々感動させられます。しかしその一方で、子育てをしながら働くことがいかに大変であるかも知りました。当院を受診される子の保護者の方も共働きが多く、皆さんから子育てのこつや乗り切るヒントを教えていただくこともよくあります。嫌がる子への薬の飲ませ方など、母親であり医師である私自身が良いと思った情報を、専門家のフィルターを通して発信していけると良いですね。
主訴に限らず小さな気がかりも相談できるクリニックに
どんな症状のときに受診すれば良いのでしょうか。

お子さんの体に気がかりなことがあれば、いつでもご相談いただければと思います。小児科はお子さんの全身をトータルに診られるのが魅力の診療科であり、当院でも、咳、鼻水、発熱、腹痛といった症状から肌荒れ、目の異常などにまで幅広く対応しています。また、主訴以外に問題点がないかも確認していきます。例えば風邪で来院された場合でも、お肌の乾燥が気になるようであればお声がけするようにしていますし、別の病気で受診したことがきっかけで斜視などが見つかり、専門的な治療へとつながるケースも考えられます。保護者の方も主訴以外に気がかりがあれば、どんな小さなことでも受診の際にお伝えください。専門的な対応が必要と判断すれば、大学病院へとスムーズにご紹介します。当院では、日本医科大学付属病院などとも連携を行っています。適切な紹介先へとおつなぎするのも、かかりつけの小児科クリニックの仕事なんですよ。
診療体制や予防接種について教えてください。
診療に携わる医師は、同じ大学医局のつながりがある先生方です。診療姿勢や人柄をよく知る相手だからこそ安心して任せられる体制につながっており、必要に応じて大学病院とも連携しています。予防接種にも積極的に対応し、在庫があれば予約なしでも受けられる他、午前・午後の診療時間内や土曜・日曜にも接種できるようにしています。母子手帳を確認し、打ち忘れや打ち漏れがないようスタッフも丁寧にチェック。定期接種に加え、必要に応じて3種混合など自由診療のワクチンの相談、公費で受けられるHPVワクチンにも対応しております。
小児科医として診療で心がけていることは何ですか。

まずはお子さんに直接話しかけ、反応を見るようにしています。もちろん、お子さんの状態を間近に見て、経過を知っていらっしゃる保護者の方から情報を得ることは大切ですが、それ以上にお子さん自身の反応から得られる情報は多いんです。対話やコミュニケーションという大げさなものでなくても、ちょっとあやしてみて、笑顔が出るかどうかでつらさを確認するといった感じです。保護者の方に対しては、過度な心配を与えず、安心を提供できるよう心がけています。特にこれといった処置をしていないのに、帰る前に保護者の方がお子さんに「良かったね」と声をかける姿をよく目にしてきました。以前はこの言葉の意味がよく理解できなかったのですが、症状の原因がわかった安心や今後の希望、治療へのやる気のようなものが込められているのだなと思い至りました。このクリニックでも、そんな前向きな言葉が出るような診療を提供していきたいです。
子どもと保護者に寄り添い、家庭に合う方法を共に探る
医師を志したきっかけと、小児科を専門に選ばれた理由を教えてください。

子どもの頃から植物や動物の体の仕組みなど、生物系に興味があり、医学部を志望しました。実際、医学部で学んでみると、研究職より患者さんと直接関われる臨床のほうに面白さを感じるようになりました。小児科を選んだのは、全身を一通り診る診療科であるところに魅力を感じたからです。小児科は、受診するのはお子さんで、付き添うのは保護者の方です。診療ではお子さん本人の様子を見ながら、ご家庭の状況や保護者の方の不安も受け止めていく必要があります。実際診療をしていくと、子どもならではの治癒力は素晴らしいものがあり、その生命力にはいつも助けられていますね。
保護者の方へのアドバイスはありますか。
保護者の方ご自身も、きちんと休んだり気分転換したりする時間を持っていただきたいですね。育児に一生懸命になるほど、ご自身の体調や気持ちの余裕が後回しになってしまうこともあると思います。ご家族で協力したり、利用できる施設を使ったりしながら、少しでも一息つける時間をつくることは大切です。健診などの機会が終わると、保護者の方が育児について話せる場所は少なくなりがちです。お子さんの症状だけでなく、離乳食や夜泣き、授乳、体温や衣服の調節など、日々の育児の中で困っていることや悩んでいることも、話せる範囲で相談していただければと思います。私たちも経験談を交えながら、少しでもお役に立てるお話ができればと思っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

ちょっとした困り事でも気軽に相談していただけるクリニックでありたいと思っています。薬についてもシロップ・粉薬・錠剤など、本人が飲みやすい形を考え、飲み方のアドバイスもしています。飲めなければ治療につながりませんから、うまくいかない時も諦めずにご相談ください。また、ワクチンで予防できる病気は、できるだけ予防していただきたいです。定期接種はもちろん、HPVワクチンなども対象の時期を逃さず受けることが大切です。HPVワクチンは小学6年生から接種でき、15歳未満で始めると2回接種で済みます。対象年齢の方には、情報を知った上で前向きに検討してほしいですね。お子さんとご家庭に合った方法を、一緒に考えていければと思います。

