中洲 美穂 院長の独自取材記事
美鳳クリニック
(世田谷区/芦花公園駅)
最終更新日:2026/07/27
2022年3月に開業した「美鳳(みほ)クリニック」。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医として大学病院などで難治症例にも向き合ってきた中洲美穂院長がめざすのは、単に皮膚の症状を治療するだけでなく、丁寧な雑談や観察を通じて「患者が本当に望む生き方」にまで寄り添う医療だ。近年、目覚ましい進化を遂げる皮膚科領域において、円形脱毛症やアトピー性皮膚炎に対する新しい治療法を積極的に導入し、ライフスタイルに合わせた豊富な選択肢を患者や家族に提示している。常に立ち止まることなく進化を続け、多様な人々の生き方を応援する中洲院長に、同院の診療について話を聞いた。
(取材日2026年6月11日)
円形脱毛症やアトピー性皮膚炎に新たな治療の選択肢
開業から約4年たちましたが、最近の診療において何か変化はありましたか?

開業当時から、一人ひとりの患者さまと真摯に向き合い、スタッフ一同、笑顔でお迎えする姿勢は一切変わっていません。ただ、この4年で患者さまの意識には素敵な変化が生まれています。以前よりもエイジングケアのような「見た目のケア」の敷居が下がり、老若男女問わず気軽に相談に来られるようになりました。実際、小さなお子さまの肌相談や学生さんのそばかす、お孫さんにしみを指摘されて来院される高齢男性まで、患者さまの年代やお悩みは実にさまざまです。地域の方々が皮膚への関心を高める一方で、皮膚科学の側でも、これまで諦めていた悩みに光を灯すような、目覚ましい治療の進化が始まっています。
力を入れている円形脱毛症の治療においても、最近大きな進化があったそうですね。
2022年に、重症の円形脱毛症に対してJAK阻害薬という画期的な内服薬が保険適用になりました。従来の主要なお薬であるステロイドは、毛髪を攻撃している免疫細胞の鎮静を図るというアプローチですが、JAK阻害薬は内服することで、円形脱毛症を引き起こしている免疫細胞の暴走シグナルをピンポイントで止め、脱毛の進行の抑制をめざすお薬です。私は大学病院在籍時、円形脱毛症を専門に診る外来を担当し、多くの重症例や難治症例に向き合ってきました。円形脱毛症は単なる一時的な抜け毛ではなく、適切な診断と早期の治療介入が極めて重要な疾患です。しかし、実は開業医の中で、円形脱毛症に対する深い専門知識や豊富な臨床経験を持っている医師はそれほど多くないのが現状です。当院では、私が培ってきた専門的な知見と治療技術をそのままクリニックでも提供しています。
アトピー性皮膚炎の治療も得意とされているそうですね。

アトピー性皮膚炎の治療も近年大きく進化しています。従来はステロイドの塗り薬が主流でしたが、現在は原因物質にピンポイントでアプローチする「生物学的製剤」という選択肢があります。幼少期から症状を繰り返し、「塗ってもどうせまたぶり返す」と治療を諦めている患者さまを時折お見かけします。実は、私自身も若い頃に重度のアトピー性皮膚炎に悩まされた経験があり、そういった患者さまたちの気持ちがよくわかります。しかし、今はもう諦めなくてもよい時代です。当院では先進の生物学的製剤による注射治療も含め、複数の治療方針を提案しています。もちろん、最終的に選ぶのは患者さまご自身です。ただ、医療が進歩し「今はより良い日常生活を望める時代になっている」という正しい情報を提示し、選択肢を広げて差し上げることが、皮膚科の開業医の義務だと確信しています。今まで諦めていた方も、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
患者の生き方に寄り添った皮膚科診療を
諦めず治療を続けることで、どのような変化が期待できますか?

アトピー性皮膚炎において、かゆみを改善させることは、QOL、つまり生活の質の大幅な向上が見込めます。激しいかゆみは夜間の睡眠を妨げ、日中の強い眠気や仕事・学業への集中力低下を引き起こします。お子さまの場合ですと、適切な治療で夜しっかり眠れるようになれば、睡眠の質が向上し、体の発育にも良い影響が望めます。特に子どもの成長期は、心身の発達において極めて重要な時期です。勉強やスポーツ、友達との交流に打ち込める大切な時期を、健やかに過ごさせてあげることは、医師として大きなやりがいにつながります。同時に、夜中にかきむしるわが子の手を、心を痛めながら止めてきた親御さんの心労も取り除いて差し上げることも、医療を届ける大切な意義だと考えています。
ニキビの治療についてはいかがでしょうか?
ニキビは、小学校高学年頃から30代の男女に多い傾向があり、現代社会のストレスや食生活なども影響していると思います。年頃のお子さんのニキビ顔を心配するお母さまも多いのではないでしょうか。一般的にニキビができると、その部位に薬を塗布する人が多いと思いますが、実は局所ではなく顔全体に塗布し、ニキビができないような肌づくりをしていく必要があります。ニキビがある方の皮膚は、外見からはトラブルがなさそうな部位に見えても、顕微鏡レベルでは毛穴が詰まっています。局所的に塗布するというのは、ニキビができるのを待っているような状態。当院では、ニキビが再発しないようにするための、きれいなお肌をめざすための治療を行っています。
先生が日々の診療で大切にしていることは何ですか?

患者さまと向き合う時間を何よりも大切にしています。皮膚科の治療は、皮膚の表面の症状を取り除くだけでは、本当の解決に至らないケースがあるからです。皮膚の症状の中には、患者さまの心や環境と密接に結びついているものがあります。例えば、皮膚をかくことで無意識に不安やイライラのバランスを保っているケースです。だからこそ、私は雑談や丁寧な観察を通じて「患者さまが本当に望んでいることは何か」を意識し、気持ちをくみ取ることを重視しています。単に病気を診るだけでなく、コミュニケーションを通じて患者さま自身でさえ気づいていないような潜在的な思いを受け止め、その方のトータルな生き方に配慮した医療を実践したいのです。
肌の健康のために知ってほしい食事の栄養バランス
お肌の健康を維持するために大切なものは何でしょう。

「皮膚は内臓の鏡」であり、体の中の状態が皮膚に現われてきます。私たちの体を構成する細胞は日々の食事からつくられているからこそ、食べる物を意識することは皮膚治療の大切な第一歩になります。細胞は約3ヵ月のサイクルで入れ替わるため、その期間に体に良い栄養を意識して摂取してきたか否かで、3ヵ月後の皮膚の状態はまったく違ったものになります。そのため当院では、栄養バランスを意識した食事のアドバイスも行っています。例えば、現代の日本人に多い深刻な鉄分不足は、ニキビの治りにくさや、しみ、くすみに直結します。せっかくお肌のケアを行っても、土台となる体内環境が乱れていては、十分な結果は得られません。体の栄養状態を整えてこそ、治療の価値が最大限に発揮されると考えています。
日帰り手術枠を拡充し、新たな治療設備も導入されたそうですね。
はい。まず日帰り手術ですが、医師を増員し手術枠を増やしました。これまで粉瘤やイボなどの切除手術でお待たせしていた患者さまへ迅速に手術を提供できるようになりました。また、しみやしわ、肝斑などをケアし、肌全体の美しさの底上げをめざすため、IPL光治療器やピコレーザーなど先進の機器も導入しました。従来の設備より皮膚へのダメージを抑え、安全性を重視した効率的なケアを提供できる環境が整いました。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

私は、医師とは「決して立ち止まってはいけない職業」だと考えています。医療は日進月歩だからこそ、毎月必ず勉強会や症例発表会などに足を運び、常に新しい知見を吸収しています。これからも学びを止めることなく、常に先進かつより良い医療を患者さまに還元し続け、地域の皆さまの健やかな毎日を支えていきたいですね。受診することで安心につながったり、早期対応で治療の負担を軽減できたりすることも多くあります。皆さまには、皮膚のホームドクターだと思って、気になることがあればなんでも気軽にご相談いただきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみケア/4400円~、しわケア/7700円、肝斑のケア/1万1000円

