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三枝 遵子 院長の独自取材記事

ヒグチデンタルクリニック

(台東区/田原町駅)

最終更新日:2026/09/10

三枝遵子院長 ヒグチデンタルクリニック main

東京メトロ銀座線・田原町駅から徒歩3分。国際通りからほんの少し入った場所にある「ヒグチデンタルクリニック」。浅草で育ち、浅草で歯科医院を開業した三枝遵子(さいぐさ・じゅんこ)院長は地元への思い入れが深く「少しでも地域の役に立てるような歯科医療を提供したい」との思いで日々診療にあたっている。生涯にわたって自身の歯を健康に保つためには子どもの頃からの予防が重要と予防歯科にも力を注ぐ。子どもたちの予防意識を高めるため自ら曲の作詞や原画製作に携わったアニメのDVDに加えて、2021年には絵本も出版。「お子さんだけでなく親御さんとともに歯磨きの大切さを理解してほしいですね」と話す三枝院長に、予防歯科に対する思いや診療の特徴などについて話を聞いた。

(取材日2022年3月10日)

予防意識を高めるため絵本を製作・出版

25年以上も浅草で診療なさっていますが、歯科意識の変化など何か感じられますか。

三枝遵子院長 ヒグチデンタルクリニック1

浅草で「樋口歯科」として開業したのが1995年。今の場所に2009年に移転したことをきっかけに「ヒグチデンタルクリニック」に改称し診療を続けています。開業当初と比べれば、予防を意識する患者さんが増えていると思います。当院では予防意識を高める啓発活動を熱心に行っていますので、ここに通ってくださっている方は意識がかなり変わってきています。予防は子どもの時から行うのが重要で、大人になってから改善しようと思ってもなかなか難しいんですね。子どもの歯を守るためにはまずは親御さんの意識を変えることがとても大切。虫歯予防のフッ素塗布やシーラント処置について、なぜそれが必要か根本的なことを理解せずに、単に周りがやっているから行うという親御さんが多いと実感しています。

それで啓発活動に熱心なのですね。最近では絵本を出版なさったと伺いました。

当初は絵本の制作はあまり考えてなく、ホームページに予防歯科をテーマに4コマ漫画を掲載していました。新たに作った4コマ漫画が16話たまったので何らかの形にしようかと考えていた時に、保育士の友人から、保育園では今でも絵本の読み聞かせをしているので 絵本を作ったらどうかとアドバイスされたのです。絵本は子どもが好きな時に自由に開いて楽しめるので、情操教育にはとても重要だと教えてくれました。それで、16話から抜粋して1冊にまとめてみました。この絵本では歯磨きの重要性がよくわかるように歯垢を「バイキンのうんち」と表現しています。あえて「うんち」と表現することで不衛生感が伝わり、歯磨きの動機づけとなればと思っています。絵本を読みながらなぜ歯磨きが必要なのか、その意味をぜひわかってほしいですね。

子どもだけでなく大人も読むべき絵本ですね。

三枝遵子院長 ヒグチデンタルクリニック2

この絵本ができた時にお世話になっている方々に送りましたところ、大人でも絵本に描かれている内容についてこれまで全然知らなかったと話す方もおられました。高学歴や社会的地位の高い方でも、関心がなければ口の中について知らないこともたくさんあるでしょうから、まずは大人の方に関心を持ってもらって子どもたちに伝えていってほしいですね。また最近、口腔内環境は全身の健康に直結していると言われていますから、口腔内をきれいに保つことはさまざまな病気の予防につながります。今、医療費の増大が問題となっていますが、一人ひとりが口腔環境を整えて健康を維持していくことで、将来の医療費の軽減も期待でき、次やその次の世代の負担を減らせるのではないでしょうか。皆さまには未来の子どもたちのためにも歯磨きが重要であることを知ってほしいですね。

なぜ虫歯や歯周病になるのかについて詳しく説明

こちらの診療の特徴としてどのようなことが挙げられますか?

三枝遵子院長 ヒグチデンタルクリニック3

インフォームドコンセント、納得診療というスタンスで、症状やその原因、治療法などについて事前に丁寧にわかりやすく説明して、理解、納得していただいた上で最終的には患者さんに決めてもらうようにしています。初診の患者さんにはまず「なぜ虫歯になるのか」「なぜ歯周病になるのか」といったことをよく説明してから治療をスタートしています。治療中は、患者さんにとって何をされているかがわからないのが一番の不安だと思います。ですので、鏡を持って「今、こういう状況ですよ」とご本人にお見せしています。今の状況をご自身の目でしっかり確認してもらって、少しでも頭に残してもらうのが目的です。なぜそこまでするかというと、自分の歯の状態をしっかり患者さんにも把握してもらいたいからです。

歯について理解することが予防の第一歩なのですね。

歯科医にとっては当たり前のことが 患者さんにとっては全然知らないということが多いようです。患者さんも本当は詳しくわからないけれど知っている素振りをしていると感じる時もあります。曖昧な知識や誤解も考えられますので、当院では私の知る限りの歯科情報を患者さんに提供し、健康な歯を保つためにはメンテナンスがいかに大切か時間をかけてお話ししています。「そういうことならこれから歯磨きを頑張ります」と感じていただければうれしいですね。意識が高まると最初は歯石だらけだった方でも、健康な良い歯茎に変わっていきます。当院は歯磨きにはかなり厳しいかもしれませんが、歯磨きは努力の証で、正しく歯磨きした結果はご自身が年を取った時に入れ歯にならないで噛めるというご褒美として返ってくると思いますよ。

スタッフさんとはどのような連携を取っているのですか?

三枝遵子院長 ヒグチデンタルクリニック4

長く働いているスタッフが多いので、歯科衛生士や歯科助手とは私が何も言葉に出さなくても、顔の動き、手の動き、アイコンタクトでスムーズに仕事ができるようになっています。母方の祖父の教訓に「一に段取り、二に段取り」があります。仕事はすべて事前の段取りが重要で、段取りができていれば、ほかの人が5分かかる仕事も3分で終えられます。事前にきちんと準備して常に先回りしてタイミング良く動く、この点でスタッフとは良い連携がとれています。実は、当院の歯科衛生士は歯科助手からスタートしています。女性は手に職をつけたほうがいい、歯科衛生士の資格を取ったほうがいいと、彼女たちのモチベーションを上げたのです。結果、これまで当院から3人の歯科衛生士が誕生しています。歯科衛生士の資格を取りたい方にはいつでも支援したいと思っています。

歯磨きが全身の健康につながることを世界に発信したい

なぜ歯科医師をめざされたのでしょうか。

三枝遵子院長 ヒグチデンタルクリニック5

両親が会社を経営していたのですが、下町の中小企業は何が起こるかわからないから、小さい頃から「何か手に職をつけておくように」と言われ育ちました。人の役に立つ仕事がしたいと思い、自然と医療系をめざすようになりました。最初は薬剤師になりたかったのですが、かかりつけの歯科医の先生が「歯医者は人の役に立つやりがいのある仕事だよ」と勧めてくれたのです。「薬剤師はお医者さんの指示なくお薬は出せないけれど、歯医者は少しのお薬は出せるんだよ。どちらか選ぶならお薬を出せるほうがいいと思わない?」と話されて。私はまだ子どもで単純だったので「そっか」と思っちゃったんです。

プライベートの時間はどのようにお過ごしですか?

以前は海外旅行に出かけていましたが、今は行けない状況なので、映画やクラシックコンサートに出かけたり、時期を見計らっては国内旅行に出かけたりしています。でも、やはり海外旅行での刺激がほしいですね。百聞は一見に如かず、といいますが、現地に行ってみないとわからないことも多いですね。その国に行って初めてその国民性や思考がわかると思います。今は欧米のように自己主張が大切という風潮ですが、日本人の国民性や日本人ならではの感性も大切なのではないかと感じますね。また、写真が好きで、待合室には私が旅行で撮影した写真を飾っています。最近は隅田公園付近にいる鳥の写真を撮り、東京の自然を発見しています。

今後の展望をお願いいたします。

三枝遵子院長 ヒグチデンタルクリニック6

日本の予防歯科が日本アニメのように世界に誇れるものになってほしいですね。また、歯ブラシを買うと、その一部が寄付になり、研究者、音楽家、スポーツ選手など努力している方への支援になったり、後進国の予防歯科を支援したりするシステムをつくれればと考えています。今話題のSDGsの目標の一つに健康、福祉がありますが、歯磨きをすることで健康につながることを広く発信し、日本の方々に歯磨きするだけでSDGsに関わっていると気づかせ、歯の予防が健康の源であることを理解してもらうことが私の大きな夢です。夢は大きいほうがいいですからね(笑)。