小口 克則 院長の独自取材記事
こぐち歯科
(練馬区/上石神井駅)
最終更新日:2026/08/31
西武新宿線上石神井駅から徒歩7分の住宅地にある「こぐち歯科」。院内に入ると、受付で小口克則院長とスタッフが和やかに談笑している光景が目に入った。開業から36年がたつ同院には、立ち上げメンバーである歯科助手が現在も在籍しているという。そんなエピソードからも、長年にわたって築かれてきた温かな職場環境とスタッフ同士の信頼関係の深さが伝わってくる。予防歯科に力を入れ、「健康維持のために、歯科医院に足を運んでほしいです」と、明るい笑顔で語る小口院長に、診療の特徴や歯科医療への思いなどについてたっぷりと聞いた。
(取材日2026年6月25日)
患者との縁とスタッフに支えられ歩んだ36年
1990年に開業し、地域の歯科医療を支えてこられたのですね。

気がつけば、36年という歳月が流れていました。私は茨城県出身で、本家の長男ということもあり、周囲からは「いずれ地元へ戻るだろう」と思われていましたし、自分自身もそう考えていたんです。しかし、日々診療に向き合うなかで患者さんとのご縁がつながり、この地域が少しずつ自分の居場所になっていきました。何より、自分が理想とする診療を自由に実践できる環境に恵まれていたことが大きかったですね。患者さんにとって良いと思うことを大切に続けてきた結果として、長く診療を続けることができたのだと思います。
どのような経緯で開業に至ったのでしょうか。
大学卒業から3ヵ月ほどたった頃、以前勤務していた歯科医院で一緒だった歯科助手の方から声をかけていただきました。もともとこの場所には、歯科技工士であるオーナーが技工所と併設して診療室を造っていたのですが、勤務医が早期に退職し、後任が見つからず困っていたそうです。「一度話だけでも聞いてみませんか」とお声がけいただいた当初は、自分に務まるのかという不安な気持ちもありましたが、ご縁を感じて診療を始めることを決めました。歯科助手の方は今も当院の大切なスタッフとして勤務しており、長年変わらず支えていただいていることに深く感謝しています。
現在の体制についてお聞かせください。

当院には7人の歯科衛生士が在籍しています。全員が非常勤で、それぞれの生活に合わせながら勤務しています。無理なく働ける環境づくりを大切にしてきたこともあり、スタッフの紹介を通じて新たな仲間が加わることもありました。長く一緒に働いてくれているスタッフの存在は、当院の大きな支えになっています。近年、歯科衛生士はクリーニングやメンテナンスを担う専門職として、予防歯科に欠かせない存在になりました。スタッフ一人ひとりが安心して働き続けられることが、患者さんにより良い医療を提供する基盤になると考えています。
歯科医院は健康のために通う場所
歯科医療全体も大きく変わってきているとのことですが。

私が一番お伝えしたいのは、「これからの歯科医院は、治療をする場所ではなく、予防のための場所になっていく」ということです。今でも多くの方は、「歯が痛くなったら歯科医院へ行く」というイメージを持っていると思います。でも、それでは遅いんです。本当に大切なのは、痛くなる前に定期的に通い、お口の中をきれいに保つこと。そのことが患者さんの将来の健康にもつながっていきます。当院には、36年前の開業当初から通い続けてくださっている患者さんもたくさんいらっしゃるんです。かつての歯科医院は、歯を削ったり詰め物や入れ歯を作ったりすることが中心でしたが、今は歯科衛生士によるクリーニングやメンテナンスが診療の大きな柱になっています。当院でも歯科衛生士が主体となって患者さんのお口の健康を支える場面が増え、そのための体制を整えています。
歯科医院への定期的な通院が大切なのですね。
最も理想的な間隔として1ヵ月半に1度の通院をお勧めしています。お口の中の汚れは、毎日の歯みがきだけでは完全に取り除くことが難しく、約3ヵ月で口の中全体に広がってしまいます。この細菌のかたまりは「バイオフィルム」と呼ばれ、放っておくと歯周病や歯槽膿漏を進行させ、歯を支える歯ぐきや骨に悪影響を及ぼしてしまうのです。お口の汚れは目に見えないうちに少しずつ溜まっていきます。一度汚れが蓄積してしまうと、完全に取り除くのは大変です。お口の状態は、全身の健康とも密接に結びついているので、健康寿命を延ばすためにも、歯科医院への通院を習慣にしていただきたいですね。
患者さんと接する上で、どのようなことを心がけていますか。

当院では、患者さんの約3分の2が歯科衛生士によるクリーニングやメンテナンスで通院されており、クリーニングの予約は1時間枠でお取りしています。一見長く感じるかもしれませんが、私たちはその時間を単に歯をきれいにするためだけのものとは考えていません。定期的に通っていただく中で、歯科衛生士との間には自然と会話が生まれます。お口のことはもちろん、日常の出来事や体調の変化を気軽に話せる関係づくりも大切にしています。そんなアットホームな環境があるからこそ、予防の大切さも無理なくお伝えできるのです。患者さんが将来も自分の歯で食事を楽しみ、元気に暮らせるよう、長く寄り添う存在でありたいと考えています。
高齢の方の診療で意識されていることを教えてください。
診療時には、お口の中だけでなく、歩き方や話し方、飲み込みの様子にも注意を払っています。加えて当院では、舌の筋力を測定する「舌圧検査」を定期的にご案内しています。舌の力は、お口の機能だけでなく全身の筋力とも深く関係しています。舌圧の数値が一定の基準を下回ると、足腰の筋力低下や歩行機能の衰えにつながる可能性が高くなるといわれています。今や歯科医院はお口の健康を守るためだけの場所ではありません。こうした検査を通して全身の健康状態の変化を早期に把握することも、歯科医院に通う大切な目的の1つです。定期的な歯科受診とあわせて、お口だけでなく全身の健康管理のために、歯科医院に足を運んでいただきたいと思います。
家族の支えを力に、地域に寄り添う歯科医療
CAD/CAMシステムや歯科用CTも導入されているそうですが。

CAD/CAMシステムを導入する上での大きな利点は、詰め物やかぶせ物などの技工物を院内で製作できることです。当院には歯科技工士も在籍しているため、コンピューターだけでは難しい噛み合わせの細かな調整にも対応が可能です。技工所を介さず院内で完結できるため、スピーディーかつ丁寧な製作を実現しています。また歯科用CTは、お口の状態を立体的に把握できるため、より精密な診断・治療につなげられるのが大きな特徴です。保険診療で利用できるケースも増えており、特に根管治療や親知らずの抜歯の際に力を発揮します。CAD/CAMシステムと歯科用CTの導入にあたっては、長男と次男が力を貸してくれました。家族の協力が、新たな設備を取り入れる上で大きなきっかけになったと思います。
息子さんたちも歯科医師になられたのですね。
3人とも歯科医師になりました。最初から私が強く勧めたわけではないんです。むしろ、「好きな道に進めばいい」と思っていました。ただ、私が日々患者さんと接し、この仕事に向き合う姿を見て育ったこともあって、最終的には3人とも歯科医師の道を選びました。私自身、この仕事は本当にやりがいのある仕事だと思っています。歯科医院に通う意味をご理解いただき、信頼して通ってくださる患者さんに必要とされること。このことは、私にとって大きな励みになっています。息子たちも実際に働き始めて、その価値を実感しているのではないでしょうか。
最後に患者さんへのメッセージをお願いします。

私は、歯科医院は「美容院のような存在」であっていいと思っています。髪が伸びたら自然と美容院に行くように、お口の健康のためにも1ヵ月半に1回は気軽に通っていただきたいのです。歯科医院は痛くなってから仕方なく行く場所ではなく、健康なうちから安心して立ち寄れる場所であってほしいですね。診療の中で私が大切にしているのは、患者さんを家族のように考えて向き合うことです。自分の家族であればどのような治療を選ぶだろうか、何を勧めるだろうかという視点を持ちながら、一人ひとりの診療にあたっています。また、目先の症状を改善するだけでなく、患者さんが10年後、20年後も自分の歯で食事や会話を楽しめる未来を見据えた診療を心がけています。お口の健康だけでなく、気持ちまで元気になって帰っていただけるような、地域の皆さんの居場所になれればうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはかぶせ物/5万5000~15万4000円、詰め物/5万5000~8万8000円

