日下 正久 院長の独自取材記事
日下クリニック
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2026/08/10
JR中央本線西八王子駅から車で約6分、団地や戸建てが並ぶ穏やかな住宅街に「日下クリニック」はある。先代が1980年に開院し、地域とともに45年の歴史を刻んできた。日下正久院長は東京慈恵会医科大学を卒業後、腎臓内科や内科で研鑽を積み、2012年に先代の志を胸に同院を継承した。2024年には院内を白と木目調の温かみある空間にリニューアルし、ウェブ予約やウェブ問診も導入。腎臓内科の専門性を軸としながらも「地域の皆さんのかかりつけ医として幅広いご相談をお受けしたいです」と穏やかに語り、一般内科から小児科まで幅広く対応する。気さくで話しやすい雰囲気の日下院長に、先代から受け継いだ思いや地域のかかりつけ医としての取り組みについて聞いた。
(取材日2026年7月21日)
先代から受け継いだ志を胸に、地域とともに歩み続ける
まずはクリニックの成り立ちについてお聞かせください。

当院は1980年に、小児科医だった先代が開院したクリニックです。すぐそばにある横川町住宅という団地が誕生した時期と重なり、東京都の依頼を受けて診療を始めたのがきっかけでした。それから45年以上がたち、当時30〜40代だった住民の方々も80代前後になりました。現在は乳幼児からご高齢の方まで幅広い世代が通ってくださっています。私は病院で勤務医として働いていましたが、2008年にこちらに戻りました。最初の2年ほどは先代と一緒に診療をし、2012年に私が継承しました。小さい頃に通っていたお子さんが大人になって再び来てくださったり、祖父母とお孫さんで来院されたりと、世代を超えた家族ぐるみのつながりを感じます。
先生が医師の道を志されたきっかけを教えてください。
子どもの頃からこの場所で育ち、先代が地域の方に頼られながら働く姿をずっと間近で見ていました。子どもだけでなく大人の患者さんも多く診ていて、大変な仕事だなと感じつつも、「いずれは自分が引き継ぎ、地元の人の役に立てたら」と自然に医師の道を志すようになりました。2000年に東京慈恵会医科大学を卒業し、初期研修の後に腎臓・高血圧内科に入局しました。実は内科と小児科のどちらに進むかでかなり迷ったのですが、腎臓の分野に進んでみると取り組むべき課題が多く、生活習慣病とも深く関わることから、患者さんの役に立てる領域だと感じました。先代からは、どの患者さんにも分け隔てなく誠実に向き合う姿勢を教わりました。その教えは、今も大切に受け継いでいます。
ご自身の代で新たに取り組まれたことはありますか?

2024年に院内をリニューアルしました。新型コロナウイルス感染症の流行下で発熱の患者さんを受け入れる中、以前の院内では動線がうまく分けられず、お待たせしたりお断りせざるを得ないこともあったためです。そこで処置室を増設して発熱の方と通常の方の動線を分け、スムーズに診療できるよう体制を整えました。入り口にはスロープを設けて車いすやベビーカーのまま入れるようにし、内装は木目調の温かみのある雰囲気にこだわっています。受付周りもオープンにして、明るく広々とした空間に一新しました。併せて24時間対応のウェブ予約とウェブ問診を導入し、事前に患者さんの情報を把握できるようになったことで、待ち時間の軽減にもつながっています。自動精算機やベビーベッドも備えるなど、患者さんの過ごしやすさや利便性に配慮しています。
腎臓の専門性を軸に、内科・小児科にも広く対応
ご専門の腎臓内科について、どのようなことに力を入れておられますか?

当院の腎臓内科では、透析に至る前の段階にある慢性腎臓病の管理を中心に行っています。透析は行っていませんが、透析への移行をできる限り防ぎ、その時期を少しでも先延ばしにできるよう注力しています。定期的に尿検査や採血を行い、その結果や数値の変化を患者さんにわかりやすくお伝えすることで、治療や生活習慣改善へのモチベーション維持につなげています。近年は新しい薬剤も登場しており、患者さんへの導入を見極めることも大切です。また、心臓と腎臓は密接につながっていて、片方の治療がもう片方に影響を及ぼすことがあるため、両方のバランスを見ながら管理することを心がけています。より専門的な治療が必要になる場合は地域の病院へ早めにご紹介し、協力しながら診ていくゲートキーパーとしての役割も果たしていきたいと考えています。
腎臓の治療には、ほかの疾患の管理も関わってくるのでしょうか。
おっしゃるとおり、腎臓病は内科の総合的な要素を持つ分野ですので、腎臓だけを診ているわけではありません。高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は腎臓と深い関連がありますから、それらにも幅広く対応しています。糖尿病の患者さんにはインスリンの導入や自己血糖測定のご案内なども行いますし、風邪をきっかけとした喘息など一般的な内科の症状も診ています。診療で大切にしているのは、患者さんによく説明して納得していただいた上で治療を進めることです。慢性疾患は私が治療するだけでなく、患者さんご自身が病気を理解し、日々の生活を見直していく必要があります。定期的に通院を続けていくことも大切ですので、モチベーションを保ちながら無理なく通い続けていただける環境づくりにも力を入れています。
小児科の診療にも対応されているのですね。

はい、小児科では風邪などの一般的な症状に対応しているほか、お子さんに必要な予防接種はほぼすべて取り扱っています。乳幼児健診にも対応していますよ。診察ではお子さんを怖がらせないよう、スタッフにも協力してもらいながら優しい対応を心がけています。私自身も子育て中ですので、親御さんの大変さは実感しています。親御さんの体調が優れないときにはお子さんと一緒に診ることもできますので、遠慮なくご相談ください。また、最近はスギ花粉症やダニアレルギーに対する舌下免疫療法も始めました。お子さんのうちから受けていただくこともできますので、ご興味のある方はぜひご相談ください。
何でも気軽に相談できる地域のかかりつけ医をめざして
スタッフの皆さんについてお聞かせいただけますか。

皆さん気さくな方ばかりで、和気あいあいとした雰囲気の中で働いてくれています。よく来てくださる患者さんのお顔とお名前はしっかり把握していますし、患者さんのほうからも親しみを込めて話しかけてくださる場面が多いですね。私からスタッフに伝えているのは、「症状があってつらい方が来ているのだから、丁寧に親切に、温かみを持って対応してほしい」ということです。大きな病院とは違い、地域のクリニックだからこそ患者さんとの距離が近いのが当院の特徴だと感じています。その距離の近さを生かしながら、どなたにも安心して過ごしていただける雰囲気を、スタッフ一同で大切にしていきたいと思っています。
今後、特に力を入れていきたいことはありますか。
健康診断で異常を指摘された方が、より早期にそして気軽に相談に来てくださるような場にできるよう環境整備と啓発活動に注力していきたいです。検査で何か引っかかると気になるものですが、そこを一つの大事なきっかけとして捉え、身構えずに受診していただければと思います。一緒に生活習慣の改善点を考えていくことが治療へのモチベーションにもなりますし、不安を取り除くことにもつながるはずです。腎臓の数値が気になる方には、これまで培ってきた知識と経験を生かして悪化を防ぐためのサポートをしたいと思いますし、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病にもしっかり対応しています。定期的なチェックを途切れさせないよう通いやすい雰囲気をつくり、地域のかかりつけ医として困ったときにまず相談していただけるクリニックをめざしていきます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

健康面のことはもちろん、気持ちの面で不安を感じることがありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。当院は腎臓内科を標榜していますが、腎臓のことだけを診ているわけではありません。腎臓病は内科の総合的な要素を持つ分野ですから、高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった関連する疾患もトータルで管理していくことが大切になります。内科全般にしっかり対応していますし、小児科でお子さんの健康もサポートしています。先代から約45年にわたって地域の皆さんと歩んできたクリニックですので、これからもちょっとした体の不調から慢性的な疾患の管理まで、何かお困りのことがあればまず当院を頼っていただければと思っています。

