川口 寛裕 院長、川口 里江子 副院長の独自取材記事
けやき医院
(さいたま市西区/大宮駅)
最終更新日:2026/09/11
のどかな田園地帯にたたずむ、時計台つきの三角屋根のクリニック「けやき医院」。木陰に人々を憩わせるけやきの大木のように、長年にわたり近隣住民の健康を見守ってきた。母から息子へ代替わりしても、地域医療にかける思いは変わらない。2代目院長に就任した川口寛裕(ともひろ)先生は、初代院長の川口里江子副院長とともに、さまざまな症状に広く・深くアプローチする診療を行っている。病気ではなく人を中心に据え、患者一人ひとりに丁寧に寄り添う。強みとしている専門的なリウマチの治療では先進的な投薬治療も可能だが、治療内容だけでなく患者が無理なく通い続けられることを重視している。新たに始めた訪問診療、リニューアル計画なども含め、2人に詳しく話を聞いた。
(取材日2026年8月17日)
高水準かつスタンダードな治療をすべての人に
長年、地域で親しまれてきたクリニックと伺いました。

【里江子副院長】1993年にこの場所に開業したのは、実家が近くにあり、住み慣れたエリアでお役に立てたらという思いからでした。現在の患者さんの中にはともに年齢を重ねてきた方々も多くいらっしゃいます。平日は会社勤めのご家族の運転で来る方も多いので、土曜の午前中も診療をしています。
【寛裕院長】子どもの頃、休診日に母が時々ここに連れてきてくれたのをよく覚えています。昔は今ほど温暖化していなかったので、開け放した窓から水田を渡る風が入ってきて気持ち良かったです。なじみのある場所で診療できることを感慨深く思っています。私が院長を継承して、母は副院長となり、基本的に二診体制で診療にあたっています。長年をかけて築いてきた患者さんたちとの深い信頼関係を、今後も大事にしていきたいです。
こちらではどのような診療を行っていますか。
【寛裕院長】母も私も日本内科学会総合内科専門医で、診療科の垣根を越えて、さまざまな症状を広く・深く診る診療を得意にしています。常に目標としているのは総合病院の外来に並ぶ水準です。診察のレベルはもちろん、検査の観点では血液検査、エックス線検査、超音波検査だけではなく、上部・下部内視鏡検査もできる体制を整えています。基幹病院とも密に連携して、専門的な医療が必要な患者さんを迅速につなげることも可能です。退院後は通い慣れた当院での経過観察を選択する患者さんも少なくありません。最近は、糖尿病をはじめとした生活習慣病の管理での受診が増えています。風邪、腹痛などのよくある症状のご相談も多いですね。幅広い診療を行う一方、リウマチの専門的な治療を続けてきたのも当院の特色といえるでしょう。
診療で大切にしていることを教えてください。

【里江子副院長】病気ではなく患者さん中心の医療を大切にしてきました。複数の疾患を持っている患者さんも多いので、全体のバランスを見ながら治療を進めています。どのような症状でも「取りあえず、けやき医院に相談してみよう」と来てくれた方の信頼に応えられる水先案内を心がけています。
【寛裕院長】標準的な検査や治療は一通りできるようにしています。この「標準的である」ということが重要です。医療の進歩により、現在の標準治療は非常に高い水準にあり、適切な診断と治療によって長年の症状が改善することもあります。例えば、リウマチは現代医学でも完治が難しいため、特殊な代替医療を頼ってしまい、困って当院を受診される方も少なくありません。大切なのは、特別な治療や高額な治療ではなく、まずは的確な診断を受け、ご自身の症状に合った標準的な医療を早めに受けることです。予後を良くするためにも、その第一歩を大切にしましょう。
専門家だからこそ下せる診断とリウマチ治療
こちらでのリウマチ治療について詳しくお聞かせください。

【寛裕院長】順天堂大学膠原病内科の研究生として、リウマチなどの膠原病を研究していたこともある母と、日本リウマチ学会リウマチ専門医の私で専門的な治療を行っています。問診と触診、血液検査を基本としながら、すでに手の腫れがあればエックス線検査や超音波検査も実施。日本リウマチ学会、米国リウマチ学会が設けている基準にのっとってリウマチと診断がついたら、ガイドラインに即したスタンダードな治療を開始します。この20年でリウマチ治療は急速に進歩し、新薬も次々と誕生しました。服薬、点滴、自己注射など治療法は多岐にわたります。当院では生物学的製剤、JAK阻害薬なども可能です。ただし、リウマチの薬は生活習慣病などの薬と比較して副作用も多いので、注意深く見守る技量も問われます。
何をきっかけにリウマチの相談に来る方が多いのでしょうか。
【寛裕院長】よくあるのが関節の痛みです。多くは手指の関節ですが、肩や肘、膝などに症状が出ることもありますね。関節の変形がある場合はリウマチの可能性が高く、実際に整形外科の先生から紹介される患者さんもいらっしゃいます。一方で、関節痛の原因はリウマチだけとは限らず、ほかの膠原病やさまざまな病気が隠れていることもあるんです。そのため自己判断せず、またリウマチかどうかにとらわれず、不調がある段階でご相談いただきたいですね。専門家だからこそ幅広い可能性を視野に診断し、一人ひとりに適した治療をご提案できます。リウマチは若い方でも発症しますので、朝のこわばりや指の腫れが続く場合は早めの受診をお勧めします。早期治療によって、発症前と変わらない生活をめざすことも可能ですよ。
リウマチの患者さんと接する際、何に気をつけていますか。

【寛裕院長】リウマチの治療はどうしても長期に及ぶので、患者さんが無理なく続けられるかどうかを重視しています。高価な薬も多いのですが、無理にお勧めすることはありません。どこまで改善することをめざしているのか、どれだけコストをかけられるのかなども考慮しながら、できるだけ患者さんの希望に沿えるようにしたいと思っています。
【里江子副院長】30年にわたりリウマチを治療してきて、適切なゴールをめざせる時代になったからこそ、これまで以上に丁寧で親身な診療が必要だと痛感しています。こういったこまやかな治療は息子の性格に合っているように思いますし、頼もしいですね。
愛され続ける、居心地の良いクリニックの秘訣
明るく温かなスタッフさんたちも印象的です。

【寛裕院長】私が高校生くらいの頃から働いている方もいて、全員が先輩です。いつも助けていただき、感謝しかありません。
【里江子副院長】これまでずっと、子育てしながら働く方だけを雇ってきました。私自身、3人の子を育てながら医局に戻って臨床と研究に従事したり、開業したりしてきましたが、近くに住む母や妹がサポートしてくれたので続けられました。でも、助けがなければ、子どもの急病で休まなければいけないこともあったでしょうし、実際に困っているスタッフもいます。個別の勤務交代も許可していますが、誰もが子育て中なので、お互いに快く融通し合えているようです。スタッフ同士、お互いに優しい環境なのは当院の自慢ですし、患者さんにも伝わっているのではないでしょうか。
今後の展望をお聞かせください。
【寛裕院長】新しく始めた訪問診療にも力を入れていきたいです。長年お付き合いのある患者さんが通院困難になり、訪問診療クリニックを苦労して探しているのを見て、それならうちでと開始しました。ただ、例えばスロープをもっと緩やかにするなど私たちが工夫をすれば、まだ通える方を増やせるとも感じています。通院を継続できれば患者さんの金銭的負担を減らせますし、体を動かすことでフレイル予防にもなります。そのため、現在、駐車場として使用している隣接地への建て替えを計画中です。今まで以上に患者さんたちが通いやすい院内環境にできたらと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

【里江子副院長】当院は地域に育てていただいたクリニックなので、今後とも恩返しをしたいと思っています。信頼を寄せてくださった方々を最良の道に導けるように、真摯に向き合っていきたいです。
【寛裕院長】「何科にかかったらいいかわからない」「受診するほどのことなのか」と迷ったときも、遠慮なくいらしてください。治療を施すというよりも、患者さんが無理をせずに治療に取り組めるようにサポートすることが、かかりつけ医の役目だと考えています。幅広いお悩みに対応しつつ、リウマチに関する専門的な治療ができるのは当院の強みです。地域の方はもちろんですが、地域に限らず関節の痛みでお悩みの方にも気軽に頼っていただきたいです。

